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第73話 牙の洗礼

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投稿日時
2013-05-17 07:58:01

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彩世幻夜

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2本の、固く尖った牙の感触が、ある一点で留まり、
何かを確認するように
同じ場所を何度か甘噛みをし――。
彼が、これから何をしようとしているのか。
考えるまでもなく、明らかだ。
咬まれても構わない、とは言ったけれど。
……さすがに緊張せずにはいられない。
肌に触れた牙に、それまでとは明らかに違う力が
加わり、皮膚に強い負荷がかけられた時、
咲月は思わず息を詰めた。
甘噛みされるのとは違う、鋭い痛みとともに
皮膚が破られ、牙が肌の下へと埋まっていく。
そうして穿たれた傷口から、鮮血が溢れ出し、
朔海はすかさず傷口に強く吸いつき、啜り上げた。
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